0-WORLD
雨の降り止まぬ
俺とキリエが初めて出会ったのは、雨の降りしきる午後だった。
ミッションには雨が降る。そしてその事を誰も疑問に思わない。それは当たり前の日常のことだった。
「いてえ…クソ…ッ。あいつ、今度、絶対ぶっ殺してやる!ぶっ殺してやる!」
所詮負け犬の遠吠えだった。
五年前の俺は14の俺。触れられれば刺し殺す、そんな言葉がお似合いの危険児だった。神経症もピークの頃で、ただのきちがい野郎だったな。
「ぐはあっ!」
左足に陣痛が走る。
其処にはナイフがあった。あるくたび、刺さったナイフが肉を抉る。
唾液が口から漏れ首へと流れ、地に墜ちる。なんてことだなんて無様な、俺の姿。
そんなサマを洗い流してくれる雨も、今は冷徹に俺を襲うだけだ。
寒い。
冷えたからだと深い傷のお陰で、俺の意識は朦朧としていた。
そんな中で、映るのは残酷にもあの『メンバー』の血も涙も存在しないような笑み。
俺と目が合ったかと思ったら急に襲ってきやがった。
抗争相手のグループに乗り込む時に、俺はどうも気が乗らなくて、マツリの目を盗んでグループをひとり抜け出したのだった。
そもそもマツリはそんな事でぐたぐだ云う輩じゃないし、暴れたい奴だけ暴れればいいのだ、俺だってそんな気分の時には何十人でもぶちのめしている。
そんな怠惰な思いを抱きながら酒を片手にいつもの路地裏に行くところだった。家なしの仲間たちが集まっている其処は俺にとっての屋根のないホームだった。
ミッションには雨が降る。そしてその事を誰も疑問に思わない。それは当たり前の日常のことだった。
「いてえ…クソ…ッ。あいつ、今度、絶対ぶっ殺してやる!ぶっ殺してやる!」
所詮負け犬の遠吠えだった。
五年前の俺は14の俺。触れられれば刺し殺す、そんな言葉がお似合いの危険児だった。神経症もピークの頃で、ただのきちがい野郎だったな。
「ぐはあっ!」
左足に陣痛が走る。
其処にはナイフがあった。あるくたび、刺さったナイフが肉を抉る。
唾液が口から漏れ首へと流れ、地に墜ちる。なんてことだなんて無様な、俺の姿。
そんなサマを洗い流してくれる雨も、今は冷徹に俺を襲うだけだ。
寒い。
冷えたからだと深い傷のお陰で、俺の意識は朦朧としていた。
そんな中で、映るのは残酷にもあの『メンバー』の血も涙も存在しないような笑み。
俺と目が合ったかと思ったら急に襲ってきやがった。
抗争相手のグループに乗り込む時に、俺はどうも気が乗らなくて、マツリの目を盗んでグループをひとり抜け出したのだった。
そもそもマツリはそんな事でぐたぐだ云う輩じゃないし、暴れたい奴だけ暴れればいいのだ、俺だってそんな気分の時には何十人でもぶちのめしている。
そんな怠惰な思いを抱きながら酒を片手にいつもの路地裏に行くところだった。家なしの仲間たちが集まっている其処は俺にとっての屋根のないホームだった。