0-WORLD
金属が重なり合う音。
其れが耳をつんざいた。
なんて頼りない俺のナイフ。舐めていたんだなまだまだ俺は、このマルクトと云う街を。
奴の長い長いカタナをナイフで受け止めながら、俺はカタナの向こう側にある奴の目を捉え続けている。いや、恐怖で目を離せないと云ったところか。
赤い瞳は見間違えなんかじゃなかったらしい。俺の幻覚でなければ、だが。
「やっぱり、坊やはタウだね」そう云い奴はにやりと笑った。寒気がするほど爽やかで嫌味のない笑み。だがそれが奴の気味の悪さを肯定していた。「俺のムラマサをそんな無名のナイフで受け止めるなんて、タウの方でも上の部類だろう。いや、かなりのやり手だ」
腕がもげてしまいそうだった。
こいつは…見た所はただの『メンバー』の一員に過ぎないが、今までやり合って来た政府の犬どもとは違う、明らかに違う臭いを感じた。それはそう例えるならば、飼い主の手には負えない狂犬。
「ぐ、うっ…」
「坊や」
そろそろ奴のカタナを食い止めるのも限界か、そんな所まで来たその瞬間に、奴はそう呟いてカタナをナイフから離した。
だけど許した訳じゃない。
一歩引き、カタナを一度後ろに下げ、そしてまたこちらを狙って横に切ってきた。寸前のところで交わす、俺。
が、情けなくも其処でしりもちをついてしまった。ナイフはカラカラと音を立て、離れたところへ転がってしまった。
其れが耳をつんざいた。
なんて頼りない俺のナイフ。舐めていたんだなまだまだ俺は、このマルクトと云う街を。
奴の長い長いカタナをナイフで受け止めながら、俺はカタナの向こう側にある奴の目を捉え続けている。いや、恐怖で目を離せないと云ったところか。
赤い瞳は見間違えなんかじゃなかったらしい。俺の幻覚でなければ、だが。
「やっぱり、坊やはタウだね」そう云い奴はにやりと笑った。寒気がするほど爽やかで嫌味のない笑み。だがそれが奴の気味の悪さを肯定していた。「俺のムラマサをそんな無名のナイフで受け止めるなんて、タウの方でも上の部類だろう。いや、かなりのやり手だ」
腕がもげてしまいそうだった。
こいつは…見た所はただの『メンバー』の一員に過ぎないが、今までやり合って来た政府の犬どもとは違う、明らかに違う臭いを感じた。それはそう例えるならば、飼い主の手には負えない狂犬。
「ぐ、うっ…」
「坊や」
そろそろ奴のカタナを食い止めるのも限界か、そんな所まで来たその瞬間に、奴はそう呟いてカタナをナイフから離した。
だけど許した訳じゃない。
一歩引き、カタナを一度後ろに下げ、そしてまたこちらを狙って横に切ってきた。寸前のところで交わす、俺。
が、情けなくも其処でしりもちをついてしまった。ナイフはカラカラと音を立て、離れたところへ転がってしまった。