夏の香り
見た事のない世界
亜紀と約束した金曜日
「あ~あ約束したとはいえホント後悔だな」
「着て行く服もないし、何年洋服買ってないだろ」
ブツクサと鏡の前で焦る

「もう時間だ!行かないと」
私と亜紀は開店より少し早く待ち合わせしていた。
夜の街はまるで別世界
昼の顔とはまるで違う。。すると私の背中をトンと

「奈央~おまたせ」
亜紀はすごく綺麗だ
それに比べて私は。。
まるで付き人みたい
「奈央、どした?」
「ううん、亜紀行こっか」
「今日は楽しみ!」
テンション上がりっぱなしの亜紀
いつもは裏口から出入りしている得意先のホストクラブ
まだ開店前だ
オーナーが私達の為に早く開けてくれる事になった
「奈央ちゃん、亜紀ちゃんようこそ!」
オーナーはマフィアのような格好だ
「素敵~」
亜紀は渋いのが好きみたいだ
明かりがパッと付き
「キャッまぶしい」
私はそっと目を開けた
目の前には背のスラッとした男性が私達の歩く道筋に薔薇の花びらをまき
私達をもてなす
亜紀は
「ひぇ~奈央!私幸せ」
私と亜紀がボーッとしながら座ると
「奈央ちゃん、そんな緊張しないで楽しんでよ」
とオーナー
「ありがとうございます」
「うちのno1さ~もうすぐ来るから」
高そうなシャンパンや色々なカラーのフルーツが並び、本当にシンデレラになったみたいだった
今まで親に言われるまま、話も合わない人達が居るパーティに行かされたが、私が今まで主役になったのは初めてだった

相変わらず亜紀は明るく、話も上手だ
「ねぇ奈央!あんた全然話してないじゃん!」
亜紀はだいぶ酔った感じだ
「気にしないで~」
顔が引きつってる私
話もせず、ペースが早くなり酔ってきたな
「あっすいません、私トイレ」
私は時間を稼ぐかのように席を立った
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