詩日記〈うたにっき〉

3月19日〔金〕

彼らは いつも
深い闇の中に、
身を潜めていた。


何の感情も
持たない彼らは、

凍てつく程に
冷たい瞳で、

静かに
人間たちを
見つめていた。




彼らは
待っていた。

人間たちを

狩る

その時を。




深い闇の中で、
人間たちの
死期が訪れる
その時を、

彼らは
ずっと待っていた。





彼らは決して、
死期の訪れぬ者を
狩ることはしなかった。


それが

彼らのルール

であり、

掟だった

から‥。





だから、
彼らは私の所には
来なかった。


何度
呼びかけても

どんなに
強く願っても


彼らは
答えてくれなかった。





彼らは

ただ ずっと

待っているだけ。


私を狩れる

唯一の

その時を‥。







これ以上
彼らを待たせるのは
やめよう

私の命になど、
惜しむ価値すら
ないのだから…





さぁ、

死神たちよ

狩りの時間だ…
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