アセトアルデヒドの悪戯(イタズラ)
なりふりかまってられない姿を、見られることもあるわけで。

必死なところを、殺伐としたところを・・・見られることも、ある訳で・・・

「連は、もっと、違うことをしたいのかと思ってた。彫金コースだってあるし」

白亜は手の中の渦巻きを見た。

売れる、出来だ。

器用な人ばかりがそろっている中で、連は群を抜いて、器用だ。

何でも、綺麗に仕上げてしまう。

きっと服だって、綺麗に作ってしまう。

けれど、連はもっと服じゃない何かを作る人だと思ってたのに。

意外だった。

「実はオレ、身内の会社に就職することになってるんだ。そこは一応服飾系の会社なんだけど、オレはそこでは直接モノを作れない。だから、大事なのは一年の基礎だけで、後は何をやっても変わらないんだ。必死で被服やってる白亜に、こんな言い方は悪いけど」

「何をやってもいい、のに、よくこんな過酷なとこ、選んだね」

連は、じっと白亜を見た。

何か、言いたげ。

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