アセトアルデヒドの悪戯(イタズラ)
「どうにもならなくなる前に、自力できっちり断りなさい。のらりくらりしてるから相手だって、引かなくなるんだ」

正樹は黙った。

「よく言った」

他のバイトが白亜に近づいて来た。

茶髪な髪を遊ばせた、この頃チックなワカモノだ。

白亜は、こういうのが嫌いだった。

出来れば自分で流行を作り上げたい。

くらいのヒトなので、周りの流行にすんなり乗っかって生きるタイプに、何だか、嫌悪感を抱いてしまう。

その、流行を作ったヒトへの嫉妬も混じっているのかもしれない。

「正樹さん、甘すぎなんだよ。はじめは超フェミニストなのかと思ってたけど、優柔不断なだけで」

白亜は、キッと彼を見上げた。

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