文系男子。
[真朱]
身体の震えが今になって襲ってくる。
ジョーヴェが別人になってしまった様だ。
竹之内はジョーヴェと睨み合っていたが、やがて身体の力を抜き、あたしとジョーヴェの前に立った。
「…切ったら、真朱を返してくれるか?」
「さあ?試しに切ってみろよ」
右手でナイフを握った竹之内は、逆手に持つと、左肩の辺りに当てた。
「止めて」
身体が震えてる所為で、声も震えた。
「ダメだよ」
だめ。だめだって。
「どーするよ、竹之内」
竹之内は、ジョーヴェを一瞥してから、あたしを見つめた。
「…好きだから」
好きだから、やるよ。
「だめ!」
竹之内の振り上げた右手が止まった。
こんなふざけた事でーーーー
腕が無くなるなんて、許せない。