文系男子。

[竹之内]

怒りで手が震えた。

ここであいつを撃ったら、真朱が危険な目に遭う。

ソレだけが安全装置となって、俺の意識を繋ぎ止めていた。

「さてさて、2組のカップルにはゲームをしてもらいましょう」

楽しそうに男が言う。

「竹之内、お前もう一丁持ってるだろ?オモチャ」

男は俺の腰にある銃を指差した。

「貸せ」

差し出された手の平に乗せる。
すると、男は銃を坂本に放った。
坂本は抱きとめる様にして銃を受け取ると、右手に握る。
すると、何かを伺う様に男を見た。
男は煙草を咥えると、坂本を見て、ニヤリと笑う。



「お互いどちらかが倒れるまで、勝負してくれよ」



坂本と視線が合った。

互いに暫く見つめあった後、俺は坂本の隣に立つ青一を見る。

青一は、青色の瞳でやはり何も言わずに見返してくる。

僅かに、坂本の左手と繋がった右手が坂本のスーツの裾をぎゅっと握った。

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