君が想い出になる前に
結依side―
暑い夏――…
あたしが君に出逢った季節。
さぁ、あたしと君の恋の話を始めよう。
***
夏の球技大会。
あたしはサボるために保健室にいた。
「ダルーい…」
あたしはうちわで顔を扇ぎながら呟いた。
ガラガラ――
「失礼しまーす」
そう言いながら一人の好青年が入ってきた。
見た目は中の上くらいで目がパッチリしている。
多分、同じ学年。
「…ケガ??」
例の好青年にそう聞いてみたものの、ケガをしている様子はない。
「上原結依さん…ですよね?」
あたしの質問はまるで無視。
だけど、あたしの名前を何故か知っていた。