Pinky
それでも帰り道は
ピンクの気配を探す俺だった。


いつもなら地下鉄に乗って
家まで30分もあれば帰れるけど


今日は3つ手前の駅で降りて
あてもなく歩きながら帰る。


「ピンク…ピンク…」

少し小さい声で
何度も何度も呼んだ。



結局いつもの帰り道
もう少し声を大きくして
集中した。


もし死んでいても


あの愛しい姿を汚すことなく
自分の手で葬ってやりたい


それであきらめられるなら
一瞬泣いたっていい


このままじゃ…あきらめがつかないんだ


会いに来る
そんなことは
おとぎ話だから……


気配を感じることもなく
家のまえについた。


部屋はまっくらだった。



 やられたか・・・・・

俺は心臓が激しく脈打った。

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