愛してるを心から


辺りを見回して、突然そう言った結城は良兄の瞳をとらえた。


「だから、貴方はいつまでも上達しないのよ。日頃の練習を怠っているものに教える意味がないと思うのだけれど?」


「・・・それは、俺にやめろっていうことですか?」


会話が一旦止まる。


私が一歩足を前へ進めたとき、家中に痛々しい音が響いた。



「一々聞いてこないで、素直に『分かりました』といえばいいの」


私の手は、震えていた。


怒りと恐怖に。


震えが止まらなかった・・・。



「貴方の言っていることは、正しい部分もあります。しかし、間違ってる部分もある。」



「貴方の言いなりにはならない、俺には俺の思いがある」



強く言い放った良兄。








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