愛してるを心から

と、急に彼が吹いた。

クスクスと笑う彼に、私は戸惑いながら見つめる。


「いいよ、いいよ。てか、面白すぎ」


まだ、笑い続ける彼。


「何で?私どこか可笑しかった?」


問いただそうとした私の頭の上にズシリと乗った手。


ゆっくりと上へと視線をあげていくと、目が怒っている先生が立っていた。


口角は、上へ上がっているのに全然笑ったように見えない先生。


はっきりいって、こわい。


「お前らが無駄話をしている間に、取り残されるぞ?」


先生は、それだけ言うと、私から手を離し黒板へと向かった。


私達二人、黙って目を合わせる。


彼の肩が上下する。


それにつられて私も笑った。



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