愛してるを心から
急いで、フェンスの近くの椅子に座る。
ピッチャーの翔。
グローブにボールを投げたり入れたりして辺りを見回す。
その姿はかっこよくて凛々しかった。
くいっと帽子を沈め、キッと相手を睨みながら翔は構える。
大きく振りかぶって、ボールを送り出した。
ざっと砂煙があがり、踏みとどまる。
鈍い音をだして、ボールは吸い込まれるようにキャッチャーのグローブの中におさまった。
「アウト!」
審判の声とともに、フェンスの外からの声援が響く。
翔は、一瞬嬉しそうな顔をしてまた、真剣な顔をした。