愛してるを心から
周りにいた観客からは、残念そうな声が聞こえた。
向こうのチームの観客からは、ピッチャーに拍手喝采。
落ち込みながら、ベンチに入ったバッターに対して仲間たちは元気に励ます。
「よーがんばった!」
誰かのその言葉に、涙を流す。
「泣くのはぇーぞ。まだ、試合は終わってない」
ベンチに座ってそう声をかけた人は、たしか3年の妙村先輩。
私が名前を知っているって事は、もちろんこの人は有名人。
私たちの中学では知らない人はいないというほどの噂だ。
顔もスタイルも完璧。
スポーツ万能、成績優秀。
まさに、学校のアイドルだ。