愛してるを心から



「彼を傷つけたのに、彼の心をめちゃくちゃにしたのに・・。優しくあたしに接してくれた彼に凄く凄く・・・嬉しかった。」




「彼を好きになれたら、あたしはどれだけ報われるだろうって思った。・・・でも、そんな事考えてる私ってひどい人間よね」



私は、声を押し殺して泣いた。


なんどもなんども、声を詰まらせながら話す茉莉をみていると涙が出てきて。



辛そうな、茉莉を見ていると胸が苦しくなって。




翔を少しだけ、思い出していた。


「あたしが落ち着くまでずっと一緒に居てくれて、そのあと彼とは別れたわ・・・」



後悔しても、仕切れない。悔しそうに茉莉は言う。




「あたしの前から去っていく彼をみていたら、どんどんどんどん好きって感情が流れてきて・・・いつの間にか好きな人が彼になってた」



その辛さに耐えられなくなって、私を呼んだ。



茉莉は、涙を流して笑った。



ごめんね、ごめんね、と何度も謝る茉莉に私は首を振った。




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