愛してるを心から
俺は、その手を掴んだまま星谷から裕子を遠ざけるように歩き出した。
出来るだけ、遠くに。
「・・しょう、離して・・・」
裕子のその声が聞こえたのは、きっと5秒以上遅れてから。
立ち止まった場所はグランドと校舎の間にある、道に大きくただずむ木の近くで、そこは日光が直接当たらない。
木の影の下で、俺は裕子の手を離した。
本当は、離したくなかったけど・・。
でも、裕子があんな風に拒絶したのを聞いた事がなかったから。
少しの間、沈黙が流れる。
「・・なんで、あんな事したの?」
なんでかな・・。
ただ、裕子と星谷を一緒にしたくなかった。
っていうのじゃ俺、勝手すぎだよね。