愛してるを心から



俺は、その手を掴んだまま星谷から裕子を遠ざけるように歩き出した。




出来るだけ、遠くに。



「・・しょう、離して・・・」


裕子のその声が聞こえたのは、きっと5秒以上遅れてから。





立ち止まった場所はグランドと校舎の間にある、道に大きくただずむ木の近くで、そこは日光が直接当たらない。



木の影の下で、俺は裕子の手を離した。




本当は、離したくなかったけど・・。



でも、裕子があんな風に拒絶したのを聞いた事がなかったから。



少しの間、沈黙が流れる。



「・・なんで、あんな事したの?」



なんでかな・・。



ただ、裕子と星谷を一緒にしたくなかった。



っていうのじゃ俺、勝手すぎだよね。









< 237 / 333 >

この作品をシェア

pagetop