愛してるを心から
黒い髪に、細目。
存在感もそこそこなこの男は、意外と憎たらしい。
「私は、ちょーーと?英語苦手なだけだもん、透馬みたいに芯から馬鹿じゃないもーん」
英語の教科書を立てて、満足そうに微笑む私をみて透馬はフッと鼻でわらった。
これ、これです。
この人を馬鹿にするかのような笑い。
にっくたらしいー・・・。
「・・はいはい、ですね。で、意地張ったところでわかんの?若池」
呆れたように私から目を離してペンを回しだす。
「・・・分かんない・・・」
「・・・だったら、めんどくさい意地なんて張んな。いつか、取り返し付かなくなるぞ」
透馬は、そういうと私の机の向きに椅子を動かした。
教科書を片手に、ノートに写した問題を解き始める。
そんな彼なりの優しさが伝わって、なんだか暖かい気がした。
「この文章と、この問題って似てる・・つー事は、答えはこうなるんじゃね?」