愛してるを心から



黒い髪に、細目。



存在感もそこそこなこの男は、意外と憎たらしい。



「私は、ちょーーと?英語苦手なだけだもん、透馬みたいに芯から馬鹿じゃないもーん」




英語の教科書を立てて、満足そうに微笑む私をみて透馬はフッと鼻でわらった。



これ、これです。



この人を馬鹿にするかのような笑い。




にっくたらしいー・・・。



「・・はいはい、ですね。で、意地張ったところでわかんの?若池」



呆れたように私から目を離してペンを回しだす。




「・・・分かんない・・・」




「・・・だったら、めんどくさい意地なんて張んな。いつか、取り返し付かなくなるぞ」



透馬は、そういうと私の机の向きに椅子を動かした。



教科書を片手に、ノートに写した問題を解き始める。




そんな彼なりの優しさが伝わって、なんだか暖かい気がした。




「この文章と、この問題って似てる・・つー事は、答えはこうなるんじゃね?」





< 246 / 333 >

この作品をシェア

pagetop