愛してるを心から



まるで野球の時のようだ。



満塁の状態で、2アウト2ストライク。


あと一球で勝負が決まる。




そんなときの、緊張感とはらはらとした気持ちに、無性に興奮してゾクゾクするような感覚。




そんな感覚に近い。




バトンが俺の手へとのばされる。




やってやろうじゃん。




その気持ちと同時に俺は勢いよく走り出した。




縮まる距離、しかし後一歩で足が上手く前へ進まない。




もしかしたら裕子が見ているかも。




そんな期待も虚しく俺の視界は裕子を捕らえる事が出来ない。




やり切りたい。




走りきりたい。




だけど、何かもっと俺に与えてくれるものを欲しがっている自分。








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