愛してるを心から
何人もの中に一人でいるのはあんまりスキじゃない。
ましてや、知らない人の中なんて息もできないぐらい・・・。
「あ・・若地」
一人人混みの隅に隠れていた私の名を誰かが呼ぶ。
低いその声は、よく聞いている声。
私は、心の寄りどころを見つけたように、振り向きしっかりとその人をみた。
「透馬・・・」
相変わらずボサボサの髪に、太陽の光に反射して光る黒い髪。
「なんで俺等こんなのに出なきゃなんねぇーのかな・・」
「ハハッ、だよねー・・一人一種目出なきゃいけないって正直ね」
私の出る借り物競争は、各学年二人でるのが決まり。
透馬が同じ種目だというのは知らなかった。