愛してるを心から


強めた力を抜く。



すると先輩は小さく穏やかに笑って私を見た後、引くようにして走り出した。



驚いた・・・のは確か。




だけど、もっと別な感情があった。



翔に見られたくない。




見られたくない。




好きだから?




好きだから・・・。




「正解です」



審判に紙を見せて合格をもらうと、交代。




並んで列に戻ると、何人かの鋭い視線がチクチクと刺さった。




「お疲れ裕子ちゃん」



離れた手と同じに先輩が言う。




「お疲れ様です、ありがとうございました」








< 293 / 333 >

この作品をシェア

pagetop