愛してるを心から
「裕子!いきなりは、きついって・・・!」



学校付近まで来て、なんとか登校中の集団に交わった私たち。


「ごめん!だって、茉莉が脅かすから」



荒れている息を一生懸命整える。


二人の吐く息がにぎやかな声にかき消される。


と、茉莉が急に笑い出した。


私は何?と、眉をひそめながら首を傾ける。


「去年の春もこんなんだってなって、思ったら笑っちゃったよ。」


茉莉は、私の表情をみてそう答えた。

そういえば、去年の入学式の日こうして茉莉と走ったけ?



楽しみで、楽しみで寝れなくて・・・。



茉莉も私と同じで、遅刻しそうになって、



汗いっぱい出したながら、笑って走ってた。


思い出すと、やっぱり笑える。




止まっていた、足をまた前へと動かす。


茉莉の足音も聞こえ、隣で小さくなった。

並んで歩いていると、茉莉の手が私の手にちょこんと触れた。


茉莉が、私のほうをみて小さく笑って私もそれに答えるように笑った。


どちらからともなく、手を握る。



ぶんぶんと激しく振って、子供みたいに笑って。




変なやつらなんて、思われても気にならないぐらい。



このまま、ずっと茉莉といられたらなって。



―――――――思う。







< 3 / 333 >

この作品をシェア

pagetop