愛してるを心から


「辛かったら、いつでも言っていいんだからね。でしょ?実」


微かに微笑んで私はそういった。


実が顔を伏せる。

ぽたぽたと、数滴涙が床へと落ちる。


茉莉と私はそれを隠すように、実の周りを囲った。


「あたしにも、好きな人がいるの・・・。」


やっと耳に入るぐらいの声で話し出す実。


私は、その声を拾う。


「口が少し悪いんだけど、でも本当はすっごく優しくて・・・。一つの目標に向かって今努力してて、人一倍かっこいいの」


息もせず実はひたすらに喋り続ける。


「でも、でもね。私の好きな人、・・・玲衣の好きな人でもあるんだ」


実は息を荒れさせる。


そして、さっきよりも多くの涙を流した。





< 48 / 333 >

この作品をシェア

pagetop