愛してるを心から
「うん、ありがとう・・・」
私は差し出された手を掴み起き上がる。
パンパンと白くなったスカートをはらう。
「あたしは、茉莉だよ。んで、この子は裕子」
茉莉は、そういうと私を指して笑った。
私は、慌てながらお辞儀をする。
「そっか、裕子ちゃんっていうんだ」
佳乃ちゃんは、そういってにこっと笑った。
ガラッとドアが開き、先生が声を荒げながら入ってくる。
後ろから2番目の窓側の席。
微妙な席だから私はこの席が嫌だ。
でも、いいところといったら窓から外が見える事かな。
先生が、出席簿を広げ「HRを始めるぞ」とみんなに促した。
一人一人の名前を呼んでいく。
私は、自分の番が来るまで外を見ながら待っていた。
「若池裕子」
その声が耳に入り、「はい」と慌てて返事をする。
先生には少し、不愉快そうな顔をされたがそのまま流れに乗って先生は最後の人の名前を口にした。
パタンと、出席簿を閉じた担任。
くるりと黒板のほうへと体を動かしチョークで自分の名前を書いた。
「私は、新居光弘といいます。これから、宜しくお願いします」
それだけ言った先生は、「はい、終了」と笑った。