愛してるを心から


先生に、茉莉と実のことを言う。


「分かった、ありがとう」


出席簿をパタンととじた先生は、私をみて笑った。


心が温かくなる。


でも、いつものように清清しい気持ちにはなれない。


頭から、翔のことが離れなくて、集中なんて出来ない私。



気づかれないように、後ろを向くと翔が紙に何かを書いていた。




ノートじゃない、別に小さな紙。




それを、隣の人に渡した翔。


どうやら、星谷くんに渡すものらしい。


受け取ったその人から、星谷くんへと紙がわたる。


隣からは、よく見えない。


でも、星谷くんの顔が一瞬だけ歪んだのだけは、はっきりとみえた。


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