愛してるを心から


椅子に座ると、翔が後ろから話しかけてきた。


「裕子怒ってる?」


不安そうな声。


その声がおかしくて、私は笑いを堪えていった。


「怒ってる」


後ろを振り向かずただただそういった私に翔は何度も謝った。


おかしくておかしくて。



つい、声がでてしまった。


不思議そうに私をみつめる翔。


「嘘嘘、怒ってないよー」


いつも以上に笑う私に、翔は何か言おうとしてやめた。


笑い続ける私を、翔は呆れたように笑って



「裕子がそんな笑うのはじめてみた」



といった。






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