愛してるを心から
と急に引っ張られた私の手。
絡まる足をたて直し、翔の後ろを一生懸命走った。
「翔!なんでぇー!」
校舎には、私達の足音しか響かない。
風が体全体を包み込む。
「裕子に何かあるかも知れないって思って!部活途中でやめて行ったんだ!」
振り向かずに速度を上げて彼は言った。
制服がゆれる、風に運ばれ彼の微かなにおいが私の奥へとしみこんだ。
涙が流れる。
校舎の外はまだクラブ中の部員たちでいっぱいだ。
そんな周りなど気にせずに私は大きな声で泣いた。
翔は私が泣き止むまで一度も振り向かなかった。