愛してるを心から
小学5年生の夏。
麦わら帽子を被って、じりじりとアスファルトを焼き付ける太陽の下、私は元気に走り回っていた。
今、鬼ごっこの真っ最中。
何人もの友達も居て、そしてその中にお兄ちゃんもいた。
「裕子、はえー・・!」
ぜぇぜぇと、息を切らして汗を拭き取る兄ちゃん。
周りの友達はそんな兄をからかう。
私はお兄ちゃんが自慢なんだ。
よく面倒もみてくれるし、私のクラスの友達までお兄ちゃんが好きなんだ。
「良兄ちゃん体力ないねぇ~、まだ若いのに・・」
呆れたように笑う私に、ムッとしてコチンッと頭を小突いた。
「あのねぇ~、こんなにもガキいんだぞ?それになぁ、何回目だ?鬼にさせられたんわ!」
「痛いー!暴力振ったぁ!暴行罪だぁ!」
怒りながら、でも半分笑いながら私はベッと舌を出した。
隣に住んでる、満くんも私の真似をして舌をだした。
と、次々と皆同じように舌をだした。