愛してるを心から


「やめ、何度言えばいいの?何度言えば貴方のその脳に届くの?」


憎たらしくそう呟いて、「今日はお終い」だと玄関へと向かった。


お母さんは朝早く仕事に出かけていていない。



結城は、お母さんの前だととてもいい人そうに振舞う。


だから、嫌い。


本性を現さない、ずるい女。



お兄ちゃんは、ケースにヴァイオリンを収めた。


切なそうな顔をして・・。



と、私の視線に気づいてかお兄ちゃんは私へと顔を向けた。



合った目と目。


私がなんと言おうか、戸惑っていると微かに笑い声が聞こえた。





< 98 / 333 >

この作品をシェア

pagetop