最後の天使

隆二君へ



隆二君へ。


これはね、
もう逢うことはないとおもった

貴方へ書こうと思っていたのだけれど、


貴方
あたしを迎えに来てくれた。

だから
最後には逢えたけど


きっとこの手紙を読むころには

私はいないのだろうと思います。


今は、
隆二くんと2人で
おなじベットに眠っています。


寝顔は変わらないね。



あたしの左手の薬指には
綺麗なピンクゴールドが光っています。




あたしは、
約束したのに

また嘘をつきました。


ごめんね。



隆二君が
荷物を取りに帰った時に
行っていた検査で、

私と母は呼ばれました。



もうずっと、
末期で治りはしない。

そうは言われていたのだけれど、


今日、
いつ命が終わるかわからないと

告げられました。



こんなに痛みに耐えてきたのに

命は終わってしまうなんて

神様はきっといないのかなとも思うよ。



嘘をついてごめんね。


ほんとは
本当のことを言おうと思ったのだけど


少しだけ、
嘘をついて幸せを実感する方を選びました。

ごめんね、
ずるくて。



でも結婚しようと言ってくれた時
すごくうれしかったんだよ。

その幸せを選ばないことの方が
死んでしまうことより

怖かったんだ…








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