最後の天使
きっと隆二君は
悲しみに暮れているのでしょう?


わかるよ。

だって大好きな
貴方のことだから。


あたしは、
きっと
待っても帰ってこない。


わかってるのに
知らないふりしたって
あたしは帰ってこない。


わかってるのに
知らないふりをしたらダメだよ。


今あたしの
指輪、持ってるよね?

きっと貴金属は
燃やせないから、
隆二君が持っているんでしょ?


それ、
すっごく高かったのかもしれないけれど、
手の届かないところに

しまっておいてください。


また、
隆二君が
あたしを思い出話できるようになった
その時まで。


あたしは
貴方が幸せになること以外
何も願っちゃいない。

だから、
あたしを忘れてなんて言わない。

でもね
あたしを思い出にしてほしい。


思い出は
思い出のままで。


それでいいじゃない。


あたしは
思い出以上に消える気はないから。

大丈夫。


隆二君、
いつも素直になれなくてごめんなさい。


いつも
ありがとうね。


愛してた。




美紀より
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