最後の天使


「あの、熱が昨日から下がらないんですけど」


「じゃあ、ここに診察券おいて、熱はかっててくれる?」


俺は財布から
診察券をだして、

ナースから、
温度計をもらった。


「あの、俺仕事なんで ベットで寝かせてあげてもらえませんか?」


「あら、辛そうね。いいわよ」


ナースは
優しそうな人でよかった。

俺は温度計を渡して、
美紀に
伝えた。


「ベットで診察待ちの間寝かしてくれるって」


「うん」



美紀は辛そうで
『うん』としか
答えることができなくなった。


「じゃあ、ベット行こうか。歩けますか?」


「大丈夫です…」


美紀はふらふらな足取りを
ナースに支えてもらい、
奥の方へ歩いていこうとした。


「美紀!」


俺は
美紀をとっさに呼んでしまった。



そして
美紀の方に駆け寄り
さっきより温かくなった美紀の手を
握って

つかめる手を握って…



でも
俺の見つめる美紀の笑顔は


夢の美紀と同じだった。





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