最後の天使
そのメールの返事は
電話で帰ってきた。
♪~♪~
マナーモードをはずした
携帯が
静かな社内に鳴り響いた。
『あ、王子?ごめんね、姫寝てたの』
冗談も言えるようになった美紀の
声色は少し明るくなっていた。
「姫、病院どうだったの?」
『うん、大丈夫だったみたいんだけどね』
「よかった。じゃあ、姫来週までには完璧に直してね」
『どうして?』
「だって、7月7日は俺らの3年記念日だよ?」
『あ!そっか』
「おいしいモノ食べに行きたい?」
俺は嬉しくなって
一方的に話を進めていた。
『あのね…でも、』
「ん?ほかにいきたいとこあるの?」
『…うん!そうなの、考えとくからちゃんと連れてってよね』
「じゃあ姫は養生してくれよ」
『まかせ…』
『中谷さ~ん』
美紀とは違うトーンの声が聞こえる。