最後の天使



そのメールの返事は
電話で帰ってきた。



♪~♪~


マナーモードをはずした
携帯が
静かな社内に鳴り響いた。



『あ、王子?ごめんね、姫寝てたの』


冗談も言えるようになった美紀の
声色は少し明るくなっていた。


「姫、病院どうだったの?」


『うん、大丈夫だったみたいんだけどね』


「よかった。じゃあ、姫来週までには完璧に直してね」


『どうして?』


「だって、7月7日は俺らの3年記念日だよ?」


『あ!そっか』


「おいしいモノ食べに行きたい?」



俺は嬉しくなって
一方的に話を進めていた。


『あのね…でも、』


「ん?ほかにいきたいとこあるの?」


『…うん!そうなの、考えとくからちゃんと連れてってよね』


「じゃあ姫は養生してくれよ」


『まかせ…』


『中谷さ~ん』


美紀とは違うトーンの声が聞こえる。
< 34 / 115 >

この作品をシェア

pagetop