最後の天使
「ハンカチ、いるか?コーヒーの香りしかしねえけど」
俺は
少し笑いながら、
屋上のベンチに座る
山本の横に座った。
俺の差し出したハンカチを
握って、
また少し涙ぐんだ。
「いつから暴力振ってるの?」
山本は
震える声で
少しずつ話し出した。
山本の彼氏は、
大学時代からの彼氏らしい。
大手企業会社に勤めていて、
昔から
女癖は悪く、
柄の悪い先輩と
よくつるんでいたらしい。
まあ
その頃は
あまり暴力はなかったらしいが
3か月ほど前不況のあおりで
彼氏は会社からの
クビを余儀なくされたらしい。
それからだ。
同棲している
家で
何も仕事もしないで
酒を飲み、
ゲームをして、
ときにはギャンブルに
山本の金を
使い果たす。
挙句の果てに
機嫌が悪くなると、
山本に暴力をふるう。