最後の天使
「そか…」
俺は山本の頭をなでた。
「別れられないのか?」
「別れ話をすると、対外優しくなって別れられなくなる…」
綺麗な
ブラウン色の髪は
屋上の風に
吹かれた。
ブーッブーッ…
ピンク色の携帯が
山本の膝で
うなりをあげた。
「…彼です…どうしよう…遅いから心配してるんだ」
「出てみろよ、ちゃんと自分の気持ち言ってみな?」
俺がそういうと
深くうなずき
ボタンを押して
耳元にあてがった。
「はい…」
『なにやってんだよ。今何時だと思ってる?』
静かな夜空に音が漏れて
怒った声が
聞こえる。
「あたし、もう嫌だよ」
『なにいってんだよ』
山本は
また泣きながら
大きく深呼吸をした。
「もう、こんなにおびえたくない…あたしは、あたしのものだから…貴方だけのものじゃない」
『唯…』