最後の天使
俺が
浮気したと思ったからか?
いや、
美紀はそんなことで
自分の意見だけを通すわけもない。
なら、俺を嫌いになった?
もう疲れた…?
そんなの
都合のよすぎる
きまり文句だろ…
「ん~…っ…せんぱあい」
俺の横で眠っていた山本は
ごろりと寝がえりをうち、
俺のほうへ身を寄せた。
「おはよう」
「おはようございます…」
山本も俺と同じように
眠たい目をこすりながら
携帯を開いていた。
俺は眠気が覚めたところで
身を起こした。
部屋の時計も
“8時40分”
同じ時を刻んでいた。
俺はここにいるのに…
本当はどこだ?
「先輩…行かないで…」
山本の手が俺を吸い込む。
俺はそう鳴く山本の
おでこを撫でた。
山本のTシャツの襟から出る
背中の根性焼きの後。
朝日が過去の痛みを
映しだした。