最後の天使
「山本、タバコのカード持ってる?」
「持ってますよ…ほら」
山本の少し幼い顔がついた
カード。
「あれ、先輩タバコすいましたっけ?」
「ん、若い時はな…お前は?」
「前の彼氏が、買いに行かせるときにいちいち俺のを貸すのは、面倒くさいからだって」
山本の笑顔と
背中の痛みが重なり
切なさを生む。
「なんで止めたんですか?」
「ん~、体に悪いから止めようかなって。ごめん、借りるな」
俺は山本の手から
カードを借りて、
枕元に置いていた
携帯と財布を手に取った。
そして服を適当に選び、
身にまとった。
ベットルームからでるとき、
歩いた時に出た風のにおいが
俺にまた
孤独を味あわせた。
もうここには
君のにおいが
残るはずはないのに。
鼻につくこの香りのおかげで
結局昨日は山本を抱くことはなかった。