最後の天使
俺は震える手の甲
に涙を落した。
君の指輪には
幸せそうに光る指輪。
なのに
どこか居場所をなくしてしまったように、
そっとたたずんでいた。
「美紀…起きろよ…朝だぞ……ほら…検診始まるぞ…」
俺の大きな声に
ナースが病室をノックして
入ってきた。
「中谷さん、どうしました………中谷さん…」
ナースは
美紀の姿、
いや、俺の泣き崩れた姿を見て
言葉を失った。
「先生呼んできますね」
ナースは
少し小走りに、
部屋を出て行った。
「美紀、ナースコール押してないのに、ナースが来たよ。そそっかしいよなあ」
俺は涙の着いた手で
美紀の乾いた頬を撫でる。
「先生呼んできますだって…どこも悪くないのになあ…眠ってるだけなのになあ…」
すると、
また扉が開いて、
そこには見覚えのある顔が
悲しそうな顔で立ち尽くしていた。
「お母さん…」
「隆二君…」
美紀のお母さんも
俺と反対側のベットの岸にしゃがみ、
美紀の顔を撫でた。
「美紀、よかったねえ…隆二君が、ずっといてくれたんだね…」