最後の天使

涙を流しながら、
無理に笑顔をつくる。


「幸せものだよ…あんたは…でも…親不孝者だよ…」



その言葉とともに、
お母さんの顔をは崩れ、
力なく美紀をゆすった。


「親より先に死ぬなんて、親不孝者!…早く…起きて…母さん…美紀しかいないいんだよ」


「お母さん…」


俺は
言葉を失った。


そして
美紀を失った。




「…父さんも…いないのに…」




美紀の家は、
交通事故でお父さんを亡くしていた。



するとまた
病室の扉が開いて
先生が神妙な顔でやってきた。



「…すみません、確認しますね」



そう言って俺の横に立ち、

美紀の胸に聴診器をあて、
目に光を当てた。



「7月8日、9時36分死亡確認。死亡推定時刻は、7月7日の11時ごろだと思われます。きっと苦しむことなく、眠るようにお亡くなりになったんだと思います…」



すらすらと述べる
言葉が、俺の頭の中には
全く残らない。

死亡?

そんなわけない。





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