【花集】君と見た、大きな光







「え、…と、」

彼女は何を話そうかと思案顔。

「橘さん…?」

「え、あ、はい。…なんで名前知ってるんですか?」

今度は訝しげにこちらを睨む。

そりゃそうか。

知らない男に名前いきなり呼ばれたら誰だって警戒する。

「俺、同じ高校の2年。F組の林恵都っていうんだけど」

は?知らない。って感じの橘さん。

ツンツンした性格だって噂、本当なんだ。








押し黙って考えている様子。

「知らないよな、そりゃ。高校にいるヤツ全員把握なんて出来ないし」

さらっと流す。

きっとそんなことだろうと思ってたし。

「…ごめん」

彼女は少しだけ申し訳なさそうな顔をした。

ちょっと過ぎて本当にそんな表情をしたのか確信は持てないけれど。






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