【花集】君と見た、大きな光
会話がなくなってしばしの静寂。
だってさ、俺ら初対面だし。
橘さんは湖を見つめてて俺は携帯を忙しなく触る。
普段騒がしい人とばっかり接するからこういうときの対処の仕方がわかんねぇ…!
「…此処で花火見るの?」
彼女が湖面を見たまま聞いてきた。
なんだよ。人と話すときくらいこっち見ろよ。
心の中で舌打ち。
「…そうだけど。邪魔?」
「別に」
また会話終了。
何コイツ、無口だな。
俺は大きな溜息を吐いてその場に座り込んだ。
「そんなにツンケンしないでさ、座りなよ」
俺、ちょっと、興味ある。
コイツに。
…障害を抱えた少女に対してのただの好奇心、それだけだけど。
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