【花集】君と見た、大きな光
「なにそれ、」
彼女は訝しげにこちらを見やる。
「…なんかの引用」
嘘。
俺は実は文学が好きで、自分で書いたりもしてる。
「へぇ…。…世界にひとつだけ、ね」
彼女は花火を見つめたまま、複雑な表情をしてた。
俺は今さらな羞恥心を腕で隠していた。
彼女が呟く。
「今も白黒しか見えない。大きな白い円」
空には大きな真っ赤な花。
「心臓の色、血の色、情熱の色」
きっとこんな説明じゃ彼女には伝わらない。
「ごめん、こんな説明しかできなくて…」
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