わがまま猫王子。
デート。
待ちに待った日曜日。
朝早く起きてしまった俺は、しばらく何もせず、今日は迎えに行くよ、とミナにメールを打ってからようやく支度を始めた。
本当に楽しみだ。猫だった時代は、デートをするなどという経験はまったくと言っていいほどなかった。猫は常に単独行動だし、好きな猫もいつも一緒にいるワケではない。むしろ、バラバラに行動していると断言してもいい。
俺はそういうのが寂しかった。
なんで好きなヤツの隣にいられないの?
そう思ったのは俺だけだったのかなあ。
とにかく、俺は人間になれて嬉しかった。
好きな人の隣にいられるし。
デートもできるし。
こんなにワクワクしたのは何年ぶりだろう。
朝ご飯を作って、食べようとしたとき、ケータイがピカピカ点灯してたから開けてみると、ミナからの返事だった。
来なくていいよ、だって。
そんなこと言われても俺、行くに決まってんじゃん。
ミナのことが心配だから俺はやっぱり行くよ、と返信したら、分かったよ、と返ってきた。
よし。もしかしたらご両親に顔合わせするかもしれない。キメて行こう。