わがまま猫王子。
ミナの家は、俺のアパートから数分歩いたところにあり、ミナはそこで家族4人で暮らしているそうだ。
ミナが言うには2コ上に兄がいるらしい。
……正直、その人に睨まれたら怖い。
可愛い妹に、俺みたいなどこの馬の骨だか分からないいけ好かない野郎とは一緒にいさせないっ、とか言われそう。
まあ、その時はその時で何とかすり抜けるからいいけど。
服をコーディネートして。髪型もセットして。
あ、お気に入りの香水もつけて。これはそんなにしつこくない香りだから、いい。
戸締まり等をよく確認して、俺は家を出た。
自分で言うのもなんだけど、今の俺は凄いイケメンに見られているだろう。学校で騒がれているのなんて、比じゃないくらいに。
俺の本気を出したら、女の子たちは俺にたかってくる。だから本当はあまり本気モードを出したくないけど、ミナとのデートなら話は別。
俺は、俺の本気を、ミナに捧げたい。
なるべく女の子たちが近づいてこないように、俺は早足で寄り道せずにミナの家に行く。途中、何人の女の子に声を掛けられたか……知る由もない。