わがまま猫王子。


 ようやくミナの家に着き、俺はその白くてシンプルな建物の前で1つ深呼吸をした。


 心臓がバクバク言っている。

 でも、そんなのはどうでもいい。

 早くミナに会いたい。



 インターホンを押すと、そのスピーカーから、気前の良さそうな女の人の声がした。ミナの声とは違うから、これはお母さんのものだろう。


 「皐です」

 スピーカーからの声は、ふふふ、と笑いながら、少し待っててね、と言った。



 しばらくしてから、玄関のドアが開けられた。ミナかと思って期待していたら、………それはなんと、恐るべきお兄さんだった。

 「お前がみなとの?」

 そのお兄さんは、ミナと少しだけ似ていたが、やはり怖い。

 俺はこの人に太刀打ちできるのだろうか?

 3歳差は埋められるだろうか?


 俺は勇気を持って、対抗した。

 「…はい、僕です」



 「……ふーん…」

 お兄さんは俺を品定めするように、俺の頭のてっぺんから爪先までじろじろと観察した。

 その視線が怖い。


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