わがまま猫王子。
「……まあ、いいだろう」
お兄さんはまだ俺に警戒していたが、頷きながらそう言った。
やった! 一番恐れていたお兄さんから許可を貰えた!
お兄さんは家の中へ回れ右をする前に、俺を鋭い目で睨む。
ひゃー、怖いっ!
「……でも、みなとに何かしたら許さねえからな。覚えとけよ」
「……心得てます」
その言葉を聞くと、お兄さんはゆっくりと家の中へ姿を消した。
スゲー威圧感。押し潰されそうだった。
まあ、なんとかやり過ごしたからもう安心。
入れ代わりに、ミナが慌ただしく玄関に来て、靴を履いた。
「……ごめんね、もうちょっと待ってて」
そう言うミナは、いつにも増して可愛らしい。
花柄のピンクのワンピースを身に纏い、頭には同じく花柄のカチューシャを嵌めて、制服の時とはまた違った愛らしさがある。
ワンピースから出る、すべすべの白い四肢がなんとも色っぽい。
……ああ、駄目だ。男はなんて卑下な生き物なんだろう。
ごめんね、ミナ。
「よし、履けたっ。行きましょう」