わがまま猫王子。


 今一番伝えたい言葉。

 ミナは受け取ってくれるかな。


 「俺…、みなとが好きだよ」

 ミナはサッと頬を赤く染めた。瞳が不安げに揺れる。


 「……初めて会った日から、みなとに惚れたんだ……それから俺、いつもみなとのことばかりを考えてる」


 ミナの長い髪の先端を自分の口元へ持ってきてキスをする。シャンプーのいい香りがした。



 「皐……」


 「寝ても覚めても、学校でつまらない授業を聞いてても、考えるのはみなとのことばかり……自分でもこんなこと初めてなんだ…頭が勝手に、みなとのことを考えてしまう。みなとを目にすると、心臓が持たなくて」


 俺はミナの白い手を取り、すんなりした指を自分のと絡めた。そしてそれを、自分の心臓に押しつける。


 「好きだよ、みなと。だから俺と付き合って…」

 彼女は目を見開いた。口は一文字に結び、わずかに唇が震えている。


 「さ、つき……」


 「大好き。みなとが」

 「……っ」

 ミナはプルプルと震えながら下を向いた。何となく怒っている風にも見える。

 俺、何かしたかなぁ……?

 いや、してる。ミナを口説いてる。


 「みなと…? どうしたの…?」



 しばらくして、押し殺したような声で反応があった。

 「どうしたもこうしたもないわっ!! 言っておくけどねぇ、私のあなたに対する第一印象は最っ低だったわ! チャラチャラしてるし軟派だし」

 ミナは俺の胸ぐらを掴む。

 そして上を向いてキッと睨み付ける。


 「絶っっ対にあなたとは付き合わないって思ったわっ。もうホントに大っ嫌いだったし」


 「嫌い……」

 俺は胸にズキッと傷が入ったのが分かった。

 じゃあ、今も……?



 「それなのにっ……、大っキライだったのにっ、どうしてくれるのよっ………いつもあなたのことを目で追ってしまうし、ドキドキするし……」

 「みなと……」

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