わがまま猫王子。



 ミナはフルフルと震えながら俯いた。


 「……今日のデートだって、本当に楽しみだったのよ……どうしてくれるのよ……っ!」

 ミナの声は次第に尻すぼみになっていく。俺は嬉しくて、顔がニヤケないように我慢した。

 「何がどうするの? ミナ」


 俺はミナのシャープな顎を持ち上げて、茶色の瞳を覗き込んだ。真っ直ぐに見つめ続けていれば、ミナの頬は色づき始める。

 「俺はどうすればいいの? どうしたら、ミナに応えられるの?」


 ニッコリ微笑めば、ついにミナが真っ赤になる。反応がいちいち可愛い。


 「ミナの気持ちを教えて。じゃないと俺はどうしたらいいか分からない」



 俺はミナに顔を近づける。至近距離に耐えられなくなったミナが、小さく口を開く。








 「……き」


 「何?」








 ミナは目を逸らす。


 「……好き。皐が、好き……」


 最高に赤くなったミナは、今にも爆発しそうだ。

 可愛くて、可愛くて。




 俺は我慢できなくなって、ミナのまるい額に口づけした。


 「ちょっ……」

 「よくできました。ミナ、俺も好きだよ……今日から、カレカノだね」




 「まだ付き合うなんて言ってな…」


 「でも俺を好きなんじゃないの? ホントは嬉しいんでしょ?」

 俺はミナを壁に押しつける。反抗できないようにミナの白い両手を壁に押さえる。


 「……さ、つき」


 「いい加減認めなよ…俺は今日という日を待っていたのに…」




 顔を近づけ、壊れやすいモノを触るようにミナの唇にキスをした。ミナの長い睫毛か動揺に揺れている。



 好きだよ、ミナ。



 俺の気持ち、受け取ってよ…――。





 おもむろに離したら、ミナは涙で瞳が揺れていた。数秒の間を置き、俺はすごい勢いでビンタされる。


 「あ、ご…めんなさいっ」


 ミナは自分が今したことが信じられないというように動揺して、肩をカタカタと震えさせた。


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