わがまま猫王子。
彼女の隣を歩こうとすると、彼女は早足になる。その怒った横顔も、俺には可愛く見えてしょうがない。
「……ねぇ、ミーちゃん」
「……」
「じゃあ、ミナ」
「……それなら許す」
少しだけ前を歩く彼女はぶっきらぼうにそう言った。
「……ミナ。何でそんなに怒ってんの?」
「………あなたが存在していることに」
……う。そう来るとは思わなかった。
「……ヒドイな。ミナは。俺は別に何もしてないのに」
「…してるわ。少なくとも、私を不愉快にさせてる」
……不愉快だって? いいや、違う。
彼女の本当の心はそう言っていない。