灰色の青春
ここに決めた。
「いい眺めだな」

そこは非常に見晴らしのいい高台にある高校だった。俺はスタジオジブリの「耳をすませば」のラストシーンの風景とその高校の近くから見える景色が似ていたので、ダチに言った。

「この高校にしようぜ」

その友達は野球の強豪校に入る予定をキャンセルして俺についてきてくれた。

中学時代付き合っていた女でその後別れたが、好きだった女も同じ高校だった。

そして高校生活が始まった。俺の青春は暴力に始まり暴力に終わると言っても過言ではない。

まず入学そうそう、野球部の気にくわないやつと喧嘩。投げ飛ばした後、靴の裏で踏みつけてやった。がそいつが厄介な奴で、先輩を呼びまた喧嘩沙汰になったりした。

本当にくだらねぇことに時間を費やした。

もっと恋とかしておけばよかったと思う。

気にくわなかったら先生にも手をあげた。

一度、先生を階段からつきおとし怪我させたのを覚えている。

怖いもの知らずだった俺だが、突然ある事柄により本当の恐怖を味わうこととなる。

それが、母親のガン発覚である。俺はショックで今までで一番の涙を流した。渇れるほど泣いて、冬休みは煙草ばかり吸ってなにも考えれない状態だった。新学期が始まっても、まわりとも喋らず只寝ているだけ。

テストは何も考えれず白紙で提出。

疎外感を感じ、あげくのはてに無視されているんじゃないかという被害妄想。母親や、親父もどうもおかしいということで精神病院へ俺をつれていった。何も告げられることなく入院させられた。

閉鎖された空間に1人、今でも覚えている。俺はこのまま処分されるんじゃないだろうかと恐怖していた。雪がちらつく春だった。

俺の病名は統合失調症。

俺に青春はなかった。

高校時代の事はあまり覚えていない。いや、思い出したくないのだろう。

人の精神などもろいものである。ちょっとした事でひび割れる。俺の場合崩壊してしまった。青春を色で例えると『灰色』
それが俺の青春を物語っている。
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