籠の鳥
「あららん。だーいじょーぶー?やっくん」

「へーき……」

「下手な嘘はやめなさい?人間素直が一番♪」

「なんだそれ…」と呟くやつはさんの声は既に僕には聞こえていかった。


なんだこれ…僕が僕じゃないみたいだ……。

気持ち悪い……


僕は自分が何をしているか分からないまま、焚き火の為に用意しておいた太い木の棒を掴んだ。

マオに背後から近付き、その棒を振り上げる。

「…!マオ!危ない!!」

「んんー?」

やつはさんは僕に気付きマオに叫んだ。

だがマオはそれを本気にしなかった。

振り下ろされた時、やつはさんは目を強く瞑る。


マオは後ろを振り返った。

「あら、ホントだ。オジサンは襲われる趣味はないのよね。特に同性…「俺がホモみたいに言うんじゃねぇよ!!このド変態!!」」

棒を持った右手を掴まれて、僕は後ろからざくやに抑えられていた。

それでも抵抗が治まらない。

「…ったく、俺が来たのが分かったからってまだらのことほっといてんじゃねぇっつの」

「でもほら、まだらの保護者はざくやだから」

「誰が保護者だ。関係ないだろう」
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